前述しましたが、粉体塗装法は樹脂粉末を被塗物に付着させ、これを熱処理することにより均一なフィルムを形成させる塗装法で、
従来の液状塗装法と比較して数多くの特長があります。
粉末樹脂を被覆する粉体塗装法は、1952年に発明された流動浸漬法と1962年に発明された静電吹付法に代表されます。
当社では実施していない方法も含め、粉体塗装法の概要を記します。
静電塗装法に適した粉体塗料は1962年にヨーロッバではじめて供給されるようになり既に開発されていた粉体用静電塗装機を利用して
次第に実用化されてきました。粉体塗料による静電塗装法の原理は高圧静電発生機で得られる直流高電圧により粉体を帯電させ、アースされた被塗物に
静電引力により付着させます。被塗物に塗着した塗料は焼付炉で加熱溶融、硬化さぜて連続皮膜を形成させます。
オーバースプレーされた粉体塗料は回収し、フルイでゴミ等異物を除去した後、再使用されます。粉体塗料による静電塗装法には大別して以下のものが
あります。
粉体塗料は塗料供給槽より空気によってスプレーガンに送られます。高圧静電発生機により得られた高電圧 (通常−40KV〜−90KV)がスプレーガンの先端に印加され、ガン先端周辺の空気をイオン化します。粉体塗料はガン先端を通過する時 およびイオン化された空気中を通過する際それぞれ接触することによって負の荷電を得ます。一方被塗物はアースされており塗装機のガン先端 と被塗物の間に電界が形成されます。ガン先端より吐出された粉体塗料は静電引力によって被塗物表面に付着されます。この際負に帯電した 粉体粒子は電位の高い部分に強く働いて被塗物上に展開し粉体粒子が厚く付着するにつれて塗膜に負の電荷が堆積し、一 定以上の厚さになると 静電反発を生じて付着し難くなります。被塗物に直進しない粉体塗料は一部が裏側に廻り込んで付着します。これらの現象によりある程度の厚さで 均一な塗膜が得られると共に膜厚の限界も生じます。
下記写真の製品は厚膜仕様のため予熱しています。
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粉体塗装機 | 塗装前 | 塗装始め |
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内面塗装 | 外面仕上げ |
粉体塗料を充填する浸漬槽の底板は多孔板から出来ており、一定の間隔で電極が配置されています。 また槽上部の内壁にそってアース線が張ってあります。底板下部より空気が送られる機構になっておりますので槽中の粉体は多孔質の底板より 吹き上げられる空気によって一次流動状態となります。一方高圧静電発生機より−40KV〜−90KVの高電圧が電極に印加され、槽内壁上部 のアースとの間に強い電界が生じます。イオン化された空気中に浮遊する粉体粒子は負に帯電して槽内を上部に舞い上り、アースされた被塗物に 付着します。被塗物に付着しない粒子は重力で落下して再び帯電粒子となって上昇し、被塗物への再付着するための運動をくりかえします。
荷電してスプレーガンから吐出された粉体塗料が十分な量の空気流にのって室内に安定した状態で流れ、被塗物がこの中を通過するときに均一に 塗装されます。
1952年西独のKnapsack‐Griesheimによって開発された流動浸漬法は底部に多孔質の板を置いた流動槽内に粉体を入れ、
空気を吹き込んで槽内の粉体を流動させ、浮遊する粉体中に予熱された被塗物を浸漬し、被塗物表面に付着した粉体を溶融流動させ、連続した被膜を
形成させる方法です。
特別な機器を必要としないので設備費用が比較的安価であり、また250μ〜1000μの高膜厚が安易に得られますが被塗物の大きさと、
形状が制約され、被塗物予熱(250〜300℃)が条件となること等の問題点があります。
流動浸漬槽 | 流動浸漬槽内投入 | 塗装中 |
引き上げ | 塗装終了 |
これは予熱された被塗物に静電気を使用せずに吹付により粉体を塗布する方法で、主として小型モーターの絶縁用被膜を形成させるために使用される例が多く見られます。
粉体塗料を予熱された被塗物に均一に吹き付け、被塗物の熱で溶融させて連続被膜を形成させる方法です。
スプレーガンの先端に炎をつけてこの中を高速で粉体を通過させ溶融状態で被塗物に付着させる方法です。
プラズマを熱源として粉体を溶融し被塗物に付着させる方法です。
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